日本語学習の機会の提供

特定技能外国籍人材に対する日本語学習支援は、単なる形式的な義務ではありません。それは、特定技能外国籍人材本人が日本社会での生活・就労を円滑に行い、安心して働き続けられるための「成長支援」であり、結果として受け入れ企業の職場環境の安定や定着率向上にも直結します。

日本政府は、労働力不足の深刻化に対応するために「特定技能」制度を創設し、多くの特定技能外国籍人材を受け入れる道を開きました。しかし、日本で就労・生活を続けるためには、日本語による基本的なコミュニケーション能力が不可欠です。日本語能力の向上は、労働生産性の向上、職場でのトラブル防止、日本社会への円滑な適応に直結するため、単なる労働力確保以上に、特定技能外国籍人材に対して日本語学習機会の提供を積極的に支援することが求められています。

そのため、特定技能所属機関および登録支援機関には、特定技能外国籍人材が日本で困らずに生活・就労できるよう、継続的な日本語学習の機会を確保するための支援を行う義務が課されています。

特定技能外国籍人材に対する日本語学習支援は、次の三つのいずれか、もしくは複数を組み合わせて実施することが求められています。

1. 地域の日本語教室や日本語教育機関に関する情報提供:

特定技能外国籍人材が居住する地域の市区町村、国際交流協会、ボランティア団体などが実施している日本語教室、ならびに民間の日本語学校についての情報を提供します。
開講日、場所、費用、申し込み方法などをわかりやすくまとめた資料を本人に渡し、必要に応じて受講申し込みのサポートも行います。

2. 自習用日本語学習教材やオンライン講座情報の提供:

働きながら学習を続けられるよう、オンライン教材、アプリ、無料ウェブサイト、有料通信講座など、時間や場所に制約されずに学べる手段を紹介します。
特定技能外国籍人材のレベルや目的に応じて適切な教材を提案し、学習計画の立案を支援することも有効です。

3. 日本語教師との契約による講習機会の提供:

継続的な学習支援:

初回だけで情報提供を終えるのではなく、定期的に学習進捗を確認し、課題や悩みをヒアリングする。
学習意欲の維持のため、小テストの実施や、日本語を使う実践的な場（例：地域イベント、交流会など）への参加を促す。
必要に応じて、日本語能力試験などの各種資格試験への受験をサポートし、本人の成果を認める機会を作る。

登録支援機関および特定技能所属機関は、日本語学習支援を単なる「義務」ではなく、特定技能外国籍人材の未来を共に作る「投資」と捉え、きめ細かな支援体制を整備していくべきです。本人に寄り添いながら、無理なく、しかし着実に日本語力を向上させる取り組みを続けることが、最終的には、特定技能外国籍人材・企業・地域社会のすべてにとって大きな利益をもたらすでしょう。